Day24 6月5日(木)
6月1日に開聞岳のふもとの小さな漁港、脇見港に緊急避難した後、急激に天候が悪化。
3日間の停滞を余儀なくされる。
晴れた日でも風が強くて、仕方がないから開門岳の周りを歩いてみたり。
そして、この日。
開聞岳のふもとを出発して、いざ錦江(鹿児島)湾を横断することに。
開聞岳をかわして、すぐに目に入るのが長崎鼻。
鹿児島は高校生活3年間を過ごした思い出がたくさんある地です。
文化祭で知り合った女の子と、ここにデートに来たなぁ。
なんて、思いながら漕いでいました。
このときは、まだべた凪だったし。
錦江湾を横断するときに一番気を遣ったのは、種子島、屋久島に行く高速船。
停滞時に時刻表を入手して、往復ともにその通過する時間帯を頭に入れていた。
なのに!
後ろからの西風がどんどん強くなってきたころに、なんとカヤックの真後ろを、高速船が、それこそかするように過ぎていった。
錦江湾のど真ん中。
高速船との距離は、10数メーターのみ。
どうして?
あとで知ったのですが、今屋久島までは高速船を運航しているのが2社あるということ。
私が屋久島に行ったときには(4年前)、まだ1社だけだったのですが。
冷や汗物でした。
波は、どんどん高くなってきます。
まだ横断する距離の半分も漕いでない。
漁船も、どんどん少なくなっていきます。
彼らを見送るときが一番寂しい。
「そりゃぁ、貴方たちはモーター持っているからいいですけどね。。。」
帰ろうとしている漁船のおじさんを捕まえて、これからの海況について聞いてみる。
「朝は落ち着いてたけど、なんか午後には風が16mになるやっでねぇ。」
「16m?」
「早く、帰りなさい。」
。。。
そう言われても・・・
今さら逆風の中、引き返せません。
対岸の伊座敷が見えてきたときには、本当にホッとしました。
湾の中央部から対岸寄りになると、若干(本当に若干)波も収まってきました。
旅行中、よくやっていたのは、「さっきよりは波も収まってきたぞ」と自分に言い聞かせること。
ネガティブの中にも、すこしのポジティブを見つけていく。
大事なことだと思います。
伊座敷から若干南に行ったところの立見崎、鹿児島カヤックスの野元さんに伺ったように結構な三角波が立っている。
バランスをとることだけに全神経を集中させる。
何とか回り込むと、目の前に島泊港、小さな漁港です。
ここから、真後ろに風と波を受けて進む。
たくさん荷物を積んで、サーフをして進むのはあんまり好きじゃない。
だから、波をいなしながら、でも勢いだけは味方に付けて進んでいく。
湾の付近は、たくさんの岩。そして岩。
間違えたら怖いなぁ、と思いながら、やっと湾の中に。
午後になると、どんどん波が高くなるばかり。
はやる気持ちを抑えて、佐多岬に挑戦するのは翌日にすることに。
Day25 6月6日(金)
6月6日の金曜日って、なんかまずくない?
と、思いながらも若干(?)うねりが残る錦江湾へ。
風速は西から5m程度。
結構な横風を受けながら、佐多岬へ南下する。
実は、島泊港を出たそのすぐ先の漁港にいったん逃げ込んだんです。
うねりは2m程度。
漁船の数もまばら。
風もある程度吹いている。
こんな状況で佐多岬を攻めていいものなのか。
チキン・ハートの私ですから、やっぱり様子を見ようか・・・などと考えて港に入りました。
そこに停泊して、船の上で網の整理をしている漁船のおじいちゃんに、言い訳がましく
「いやぁ、今日はうねりが激しいですよねぇ。」
そして、「佐多岬に行こうと思うんですが、今日は止めといたほうがいいですよねぇ。」
おじいちゃん、
「・・・・」
しばらくした後、
「今日は、うねりだけだから大丈夫だぁ。」
わかりましたよ。
行って来ますよ。。。
うねりは、佐多岬までずっと続く。
でも、波が白くブレークするのは、岸沿いだけ。
何とか佐多岬が見えるところまで辿り着く。
知らなかったけど、佐多岬って灯台が二つあるんですね。
最初の灯台見て喜んでいたら、全然まだまだ先に本物がありました。
佐多岬のふもとに着いたのは、午前8時前。
ちょうど潮止まりの時間。
周りをいろいろと見た上で、岩場と岬の間の狭い水路を通ることに。
野元さんには、そこは絶対通らないほうがいいと言われたんですが。
この地点を過ぎると、まさに半分来た!! という感じ。
ここからは基本的には北上ですから。
大隈半島の東側は、べた凪。
西からの風が高い山々にさえぎられて、こっちは平和。
・・・でした、午前中は。
大隈半島の南端、東側の海岸線は、まさに南から大きく流れ込む黒潮が九州にぶち当たるところ。
北上し始めると、海全体が上に、下に、大きく動いているのがわかる。
今まで体験したうねりとは、また全然違う。
海全体が動く感覚。
それも2階建ての高さぐらいに。
ここら辺を漕ぐときに緊張するのは、漁港なんてものがほとんど無いということ。
昼飯を食べるために休憩した南薩摩郡の辺塚港。
自衛隊基地のすぐそば。
来週から海上射撃訓練が行われるところです。
そこから出てしまうと、もう次の上陸可能地点は10数キロ先になってしまう。
海岸線は、岸壁のみ。
激しい波が形どる地形は、興味深いものばかり。
洞窟の大きさは、想像を超える。
大きいものは、高さが数10m。
でも、船も人間もいないから、写真でも比べられないんです。
本当に大きいんですよ。
辺塚を出ると、風が上がってくる。
・・・やめて。
あと3時間漕がないと、上陸できないんだから。
でも、どんどん風と波は強くなるばかり。
そんなに高い波ではないんだけど、黒潮の上に乗っかる形で勢いがついてくる。
スピードと、迫力と。
岬をいくつか越えるものの、後ろから襲ってくる波は強さを増すのみ。
ちょっとやばいなぁ。
ここの岬を越えたら、もう一度休憩しよう。
そう思って、近づいた岸は1m以上もあるゴロタ石の浜。
どうする?
でも、ここでは休んだほうがいい。
海の様子を見たほうがいい。
岸近くになったら、海に飛び込んでカヤックが岩にぶつからないようにバウを持ちながら上陸。
荷物を出して運んで、軽くなったカヤックを一生懸命岩の上に持ち上げる。
お休みです。
気持ちを落ち着けて、ずっと海を見る。
これから次の上陸地まで10km強。
漕げるか?
大丈夫か?
自問自答。
でも、このゴロタ石の上でキャンプはできない(知床では、したけれど)。
きちんと心の準備をして、海に再び出ることに。
漕ぎきる。
しばらく行ったところの辺塚(肝属郡)のビーチに上陸。
波打ち際ではサーフが立っていたんだけれど、うまく上陸することができました。
長い一日でした。
そして、最後にたどり付いたのは、綺麗な黄金のビーチでした。
そうそう。
ここのビーチでは、素晴らしい出会いがありました。
>周りをいろいろと見た上で、岩場と岬の間の狭い水路を通ることに。
佐多岬を一度漕ぎましたが、しっかり狭い通路を通りました。寒くて、風がある日で、避けるに丁度よかったです。
投稿情報: tanigu痴 | 2008年8 月26日 (火) 21:39
ブラックさん。
ワクワクするレポありがとうございます。
やはり基本はワクワクドキドキ。
そして安全の為にはチキンハートですね。
いつかチキンハートクラブ?でご一緒いたしましょう。
投稿情報: 野元団長 | 2008年8 月26日 (火) 21:40
tanigu痴さん、
そうですか。佐多岬行かれましたか。地元ですものね。
いろんな水路があって、どうしようか結構迷いました。
潮止まりで本当によかったです。
まぁ、ある程度計算しては行ったんですが。
野元団長さん、
野元さんがチキンハート?信じられません。
私は、「素人の」旅を満喫できたかと思います。
いろいろとアドバイスありがとうございました。
本当に助かりました。
投稿情報: ブラック | 2008年8 月27日 (水) 05:21