ニュージーランドっていうと、自然と、羊と、それにラグビーだけだと思っていませんか。
でも、住んでみると、ニュージーランドには、もっと、もっと楽しいことがいっぱいだってわかってきたんです。
普段の生活で、そんな気持ち良くて、とっても素敵な経験ができたので、ご報告です。
私たちが南島のネルソンに移住した理由はいろいろあります。
だけど、やっぱり、なんといっても天候。
実は、ネルソンはニュージーランドで一番天気がいい場所なんです。
正確に言うと、晴天率、もしくは年間日照時間が一番長いところです。
天気がいいのが好きなのは、なにも私みたいなスポーツ好きだけではありません。
綺麗な景色と、澄んだ空気を求めて、たくさんのアーティストがこの地に居を構えています。
ネルソン市内にあるSuter Gallery(スター美術館)は、ちょっと前衛的だけど、ニュージーランドでもいつも注目を集めている美術館です。
先日、私たちのご近所のお友達、芸術家のLisa Chandler (リサ・チャンドラー)さんからご招待いただいて、スター美術館で開かれる彼女の合同展示会のオープニング・セレモニーに行ってきました。
冒頭のが、今回のエキシビジョン"Six in the City"のポスターです。
6人の芸術家だから"Six"なんだけど、キウィ英語の発音だと、"Sex in the City"に聞こえるんです。
ちょっとしゃれた?ネーミングですね。
芸術展ですので、もちろん写真を撮ることはできません。
でも、びっくりするぐらいに盛況。
そんなに大きくないスペースに、100人以上のご招待客がいらっしゃっていました。
ローカルにこんな素晴らしい芸術家がいるんだ、って本当に驚きでした。
もちろん、芸術の歴史、その奥行きはヨーロッパ諸国、もしくは日本等に太刀打ちできません。
でも、「アート」がこんなに身近にある環境。
それはちょっと日本ではない感覚かもしれません。
すくなくとも、私が日本にいたころは、ローカルの芸術家たちとの交流なんてなかったなぁ。
ネルソンは、間違いなく、ニュージーランドでもアーティスティックな街。
ネルソン・アート・ガイドという一冊のガイドブックがあるほどです。
いろんなクラフトワークのショップや、一日体験などもあります。
そして、ギャラリーの後に私たちが向かったのは、ネルソン市内にある"Casa de Vino"というワイン・ショップです。
ニュージーランドでも有名なふたつの畑のワインメーカーを呼んで、ワイン・テイスティング・ナイトが開催されたんです。
天気がいいのは、もちろんワイン・メーカーにとってもいいことです。
特に、ネルソンは一年の寒暖の差が激しいので、いいブドウが作れるんです。
テイスティング・ナイトは、きちんとした着席式。
定員30名は、満席でした。
開始時間の6時半ちょうどに伺ったのですが、もうみなさんいらしていて、座ったのは最後尾。
みんな、ワインが大好きな方ばかりなんですね。
今回、ワインを紹介してくれたのは、Greenhough(グリーノフ)とTerravin(テラヴァン)というワイナリーです。
ワインを実際に作っているお二人が直々にショップまで来てくれて、ひとつひとつのワインについて説明してくれました。
これがテイスティング・リスト。
なんと13種類もの、ワインをテイスティングさせてくれるんです。
酔っ払っちゃいますよね。
白ワインから。
最初のFlight(フライト)は、ソビニョン・ブラン。
3種類並べて飲むと、その違いがよくわかります。
グリーノフ、とってもフルーティーで雑味がなくて美味しいです。
グラスが空になりそうになると、継ぎ足してくれるし、それにおつまみのチーズも美味しいし。
なんか、とっても幸せな気分です。
テーブルの端で、とても熱く、そして詳しく説明してくれているのが、Andrew Greenhough。
アンドリューが、オーナーであり、ワインメーカーでもあります。
1990年に、ネルソン郊外のHope(ホープ)にワイナリーを購入して、時間をかけて、今の高い評価を得ました。
グリーノフ・ワイナリーについて、とても面白いコメントがあるので、ご紹介します。
"It is here that Greenhough has been making the sort of startling Pinot Noir that makes me want to rethink everything I've ever learned about the advantages of hillside vineyards."
ワイン評論家のBob Campbellの、正直なコメントです。
「グリーノフは、ホープの平地でこんなに衝撃的に美味しいピノ・ノワールを作り続けている。丘陵の畑でできたピノの方が美味しいとずっとそう教えられてきたけれど、考え直さなくちゃいけない…」
グリーノフが作っている赤は、ピノ・ノワールのみ。
これがまた、やわらかくて、ミネラルがよく含まれていて、本当に上品な出来なんです。
あと、一つのワイナリー、テラヴァンのマイク。
わざわざ、マルボロから山を越えてやってきてくれました。
9年間のフランスのブルゴーニュ、ロワール等での修業の後に、1991年からワインメーカーの奥さんと一緒に、マルボロで「こだわりの」ワン造りに携わっています。
オフレコですが、マルボロの大量生産のピノ・ノワールのことを、かなり批評していました。
…同感です。
彼らが最初に手掛けたワイナリー、Clayvin Vineyard(クレイヴァン・ビンヤード)は、マルボロの最高峰ワイナリー、Fromm(フロム)に売られました。
いまでも、フロムのクレイヴァンと言えば、マルボロで出来るピノ・ノワールの最高傑作のひとつです。
テラヴァンの評価で面白いのは、以下のとおり。同じくBob Cambell。
"A cult winery in the making"
「こだわりの作り手だけど、オタクだね。」
ここに並んでいるのは、2種類(2つの造り手の)ピノ・ノワールと、テラヴァンのキャバルネ、ボルドーミックスです(右手)。
テラヴァンのピノ・ノワールは、美味しいんだけど、手が掛かり過ぎてちょっと値段が高い出来上がりになってしまいました。 うーん。
それに対して、マルボロでボルドー・ミックスはないだろうと思って飲んだ、Terravin "J"。
これ、本当に美味しかったんです。
重すぎず、ちょっと渋みとスパイスが効いた感じで。
でも、このワイン、なんと65ケースしか作っていないんですって。オタクだ・・・
そうこうしているうちに、ネルソンの夜はどんどんと更けていきます。
Casa de Vinoを出たのは、もう9時半近く。
3時間近くも、テイスティングを楽しんじゃいました。
9月29日には、ネルソンのワイナリーがすべて揃って、大規模なワイン・テイスティングを開催します。
20以上のワイナリー、テイスティングできるワインの数は、ゆうに100種類を超えます。
それで、参加費35ドル、日本円で2500円足らずです。
いいのか、それで・・・
みなさん、
どうして、私たちがネルソンに移住したか。
本当の理由、もうおわかりになりましたか?
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