7月6日(水) 晴天 32℃
出発地点だった瀬長島まで距離でいうと20km足らず。もうそれしかない。
でも、この遠征で一番の難関はまだこの先に。喜屋武岬と、その前には荒崎を超えなければ。
携帯で調べたら、気象庁の予測は、沖縄県南部、波は2.5m、風速10m。。。まじかよ。
でも、昨日みたいに迷いは無い。4時前にはすっきりと目が覚める。ゆっくりと、しっかりと準備を進める。不安が無いと言ったら全然嘘だけど、でももうビビッちゃいない。
5時半過ぎに大度海岸を出発。
水路からリーフの外に。。。あれ?どこが波の切れ目?ここか?ここでいいのか?と考えている間に、頭から何度も波をかぶる。必死で漕ぐ。また波をかぶる。カヤックが大きく傾く。ブレース。堪える。必死に漕ぐ。また波。漕ぐ。
やっとリーフの外に。
でも、ほっとする暇は全く無し。リーフの外は大きなうねり。波頭に乗ると、2階からものを見ているよう。何度も波をかぶったのでコックピットは水浸し。荒崎を目指して漕ぐ。うねりの中で荒崎は、見えたり、見えなくなったり。
荒崎に近付くとリーフに当たる波は大きく、高く、そして強い。仕方なく、ずっと沖に出てブレークをかわす。ただ、沖はうねりがもっとひどい。岬には色んな方向から波が来る。引き潮、返しの波もあいまって、波と波がぶち当たる中を漕ぐ。漕ぐ。漕ぐ。スターンが取られて、船が90度回されたりしながら、それでも漕ぐ。うねりの上まで持ち上げられたら、そこからは滑り台みたいに波間へと落ちて行く。パドルを波の向こう側に差し込むように入れる。耐える。
「ここで沈したら終わりだな。」
弱気な自分が時々顔を出す。高いうねりが目の前に来ると、腰が引けてしまう。岸を見ても、ずっと絶壁。取り付くところも全く無し。もちろん、誰もいない。漁船さえも出ていない。
私が今度の旅で学んだことは、「漕がないと進まない。でも、漕いだら必ず進む。」ということ。だからひたすら漕ぐ。
荒崎抜ける。漕ぎきった。
次ぎは、喜屋武岬までまっすぐ。風と波がもろに横から来る。横からの高い波を受け真っ直ぐに進むのって本当にむずかしくて大変。バランス崩しそうになりながらも徐々に進む。
「あっ!」
人だ。喜屋武岬の手前でサーファーを数人発見。なんか、嬉しい。ここでこけても誰か見ていてくれる。
それにしても、ビーチが全くなくて岩礁のみのところで良くサーフィンやるよなぁ。波は高くていいのかもしれないけど。でも、彼らも私を見て、良くこんなとこカヤック漕ぐよなぁ、って思っているんだろうな。
さーて。喜屋武岬。大城さんのアドバイスは、
「岬を廻ったところに水路があるからそこから入ればいいよぉ。」
どこじゃい、水路は?ブレークばっかりじゃないか。
ブレークする波を避けるためには、かなり沖の方まで出なくてはいけない。そう、そこは凄いうねり。だけど、水路探すために、何回も近付いては、それからまた引いて。その繰り返し。そして、やっと岬の出島を巻いたところで、
「これか?」
たしかに、波は弱い。。。かな?そういう気がする。でも、ちゃんと白波ばっかり。
だけど、迷っていたらどんどんリーフに引き込まれるだけ。
「行こう!」
声に出して、その水路に向かって突っ込む。後ろから波。かなりの前傾状態のまま波に乗る。スターン・ラダーで態勢をかろうじて保つ。
「こわっ。」
何回サーフしたんだろう。必死。
ふっと気がつくと。。。あらっ、リーフの中に。おぉぉっ。
喜屋武岬通過!
まずはビルジポンプで水を抜く。70回以上やんないと水が抜けませんでした。そして、携帯から待っていてくれるみんなに連絡。でも、まだみんな寝ていたけどね。
リーフの中を進む。途中糸満港で怖い思いしたけど、最後まで気を引き締めて進む。
瀬長島が見えてきた。そして、誰かが手を振ってくれているのも見えてきた。漕店の酒井さんだ。そして、妻も、妻の母も、そして大城さんもいる。
もう直ぐだ。
瀬長島を廻りこむ時には酒井さんがスーパーカブで伴走してくれる。何度も手を高く上げてガッツポーズもしてくれる。
ラダーを上げる。
ちょっと、照れくさいけど、みんなに写真を撮ってもらいながら瀬長島の出発地点に上陸。もう9時過ぎだ。
「ただいま!」
長い旅でした。
みんなに、ただただ感謝感謝です。
「にふぇでーびる」。。。だったかな?
じゃ、おやすみぃ。。。。。
漕行距離 19km
総漕行距離 288km
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