先週末に、Murchison(マーチソン)という人口750人の小さな村に行きました。
昨年に引き続き、リバーカヤックの合宿です。4日間、ずっとロールとリバー・リーディング。
ニュージーランド・カヤックスクールは、世界的にも伝説的なカヤッカー、Mick Hopkinsが運営しているスクール。
インストラクターは、若いけど、技術、経験とも世界級。
凄く、いい経験をしました。
リバーカヤックも面白いし、Mickくらいの人になると、シーカヤッカーに対しても、他のスポーツをやっている人に対しても、凄いことは凄いって、きちんと言うんですよね。
それが出来ることが、凄い。
でも、今日話したいことは、カヤックとも、ニュージーランドとも、全く関係ない話です。
ネルソンから、マーチソンに行く車の中、一人で久しぶりに、本当に久しぶりに、The MODS(ザ・モッズ)を聴きました。
2月に帰国した際に、葉山にいらっしゃるライターの麻生さんちでiPodに取り込みました。
運転している間に、何度も、何度も、聴きました。
私は、中学卒業まで、九州の炭鉱の町、大牟田というところで育ちました。
一時は栄えていたものの、70年代から80年代に掛けて、相次ぐ円高で、国産の石炭に対しての需要は細る一方のときでした。
北海道、そして筑豊の炭鉱がどんどん閉山になる中、三池炭鉱を中心にして唯一の大型炭鉱として採鉱を続けていました。
それでも、町には活気が無く、色で例えると暗いグレー。いわゆるねずみ色です。
大牟田は、公害でも有名な町でした。
市内の真ん中を流れる大牟田川からは悪臭が漂い、遊びで投げ入れた金魚はものの2秒で腹を見せて浮かび上がってきました。
朝の落ち着いた空を見ると、スモッグの為に空気の層が何層にも見えて、子供心にあの灰色の層は何を意味しているのかと、少し怖くなったことを覚えています。
景気が斜陽な地域は、もちろん治安も良い訳が無く。
通っていた中学校も、校内暴力等が当たり前になっていました。
不満を持つ生徒たちがそのエネルギーを持て余して。
みんなが、それぞれにいろんなことをして、いろんなことにぶちあたっていた時代でした。
尖がって、突っ張って。
自分はいわゆるその頃の「ツッパリ」でもなかったし、どちらかというと面白みに欠けるどこにでもいた「優等生」タイプだったのかもしれません。
だけど、やっぱりいろんなことを感じてたり、考えたりしたいたんですね。
The MODSの曲を聴くと、あの頃のことが思い出されて、今でも身体が震えてきます。
The MODSは、福岡出身のロック・バンド。
1981年にメジャーデビュー。
同年に、私が大好きな「ゴキゲンラジオ」等を発表しました。
でも、地元福岡においては、メジャーデビュー前からみんなが知っていた伝説のロックンロール・バンドでした。
www.youtube.com/watch?v=SApmdkWw3rs
ブリティッシュ・ロックの正統派、The JAM等から影響を受けた、ビートの乗ったシンプルな曲。
自分も含めて、中学生でバンドを始めたものにとっては、簡単なコード進行が嬉しかった想い出があります。
でも、シンプルな曲ほど、やっぱりその技量と傾ける気持ちの差が明確に出るんですけどね。
The MODSは、「尖った」若者たちの心を代弁していました。
TWO PUNKSの歌詞。
尖がって、それでいて寂しくて。
社会というレールに乗りたくなくて、乗れなくて。
ボーカルの森山達彦の寂しげな鋭い声が余計に切なく聞こえます。
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虚ろな町に風が吠え抜ける。
俺たちはアスファルトの上転げ落ち。
もう真夜中だ。なにをすればいい。
押し合いへし合い、地下鉄にもぐる。
いつもの薄汚れた小屋へ行き、俺たちは歌った。
朝まで歌った。
一切れのパンを、腹に押し込み。
ぐったり地下室に横になる。
・・・・・・・・・・・
Two PUNKS 縛られて
Two PUNKS 見張られて
Two PUNKS 逃げられない
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歳を取った今だから、こういう歌詞を久しぶりに聞いて感動するのかな。
この週末に、何度も何度も聴いて、本当に心が揺さぶられました。
こんなに動揺しているということは、なにか15歳のときにやり残したことがたくさんあるのかもしれません。
久しぶりに、大牟田の町を思い出し、昔の自分を思う時間があったので、思ったまま綴ってみました。
ブラックさん。
いい文章ですね。
私の育った鹿児島も中学校のすぐ横に製紙工場があり、真っ白な排水が城下町の大切な川を毒々しい白に変えていました。
その川の水質検査を科学部でやったことを思い出しました。
音楽は時空を越えるものがありますね。私は旅をすることで自分が育ったと思います。その頃の場所や泣き笑いを思い出します。
投稿情報: 野元団長 | 2008年4 月 2日 (水) 08:15
お久しぶりです。
無事昨日から社会人となり、今研修中で日々勉強の毎日を送っています。
相変わらずキレのあるいい文章書きますね!
ブラックさんの文章でだいたい大牟田のことが想像できました。寂しい街なのかなと。
人間ないものを求めるもの。だからNZのような空気が澄んでいて大自然な土地がブラックさんをひきつけるかもしれませんね。
投稿情報: timo | 2008年4 月 2日 (水) 22:38
おひさしぶりです。お元気そうで何よりです。私も色々ありつつも何とか生きております(苦笑)。
同じ世代な訳ですが、大牟田に限らず、福岡市でもそれなりに校内暴力はありました。イジメというよりVandalismです。校舎の窓ガラスが割れてるのがあって当たり前、公立のみならず私立でも卒業式の際に校舎中の消火器を全部卒業生がぶちまけて大変なことになったこともありました。
ところで:
>面白みに欠けるどこにでもいた「優等生」タイプ
「優等生」では確かにいらしたのでしょうが、「面白みに欠ける」という点については、中学生当時を直接には存じませんが、甚だ疑問なしとしません(^^;;)。
投稿情報: TAK | 2008年4 月 3日 (木) 03:18
思い出しました 同郷ですがすこしブラックさんより私が古いみたいですね(笑)
あの川の色と匂い、、確かに記憶の中にしっかり刻まれてします
すごい公害ですよね、、
でも 山で虫をとったり川で魚を取り、焼け石山に化石とりに行きました それなりに自然がありました(お転婆でしたから)
あの学校は荒れているらしい、、特定の名前があがることも
ある中学校が燃えたこともありました
エネルギー革命の中、三池の労使闘争、三川鉱の大事故、不景気の中新たな職場を求めて別のヤマ、海外のヤマへいかれた方も
三池鉱での事故 あの晩、深夜雪が降る中ラジオから聞こえる事故の大きさに体が寒さとともに震えていました。
デパートもなくなり、草木饅頭さん 熊本の菓子屋が経営を引き継いでいるんですよ
私は暴れたり物を壊したり暴走したりできなかったけど、今思えば自分の中での葛藤はあったように思います
投稿情報: しりうす | 2008年4 月 4日 (金) 21:30
みなさん、コメントありがとうございます。
本日まで、南島のHollyford Trackというトレッキング・コースに行ってきました。
素晴らしいところでしたので、またご報告したいと思います。
野元団長さん、
コメントありがとうございます。
そうですね。私達の子供の頃は、まだ経済成長が最重要視され、自然の有難みが浸透していない頃だったかもしれません。
timoさん、
いよいよ社会人デビューですね。頑張ってください。
そうですね。私は、大牟田でも田舎に育ったので、周りには自然だらけだったんですが、やっぱり東京での生活が長すぎたのかな。
でも、「無いもの」ねだりで都会の生活にあこがれたりして。
TAKさん、
そうなんですよね。校内暴力、かなりの規模で行われていた時代でした。
でも、やっぱり「面白み」無かったんじゃないかなぁ。
本当に、もてなかったなぁ・・・
しりうすさん、
落盤事故のこと、いまでも鮮明に覚えています。
私は中学のバスケ部のキャプテンでしたが、女子バスケ部のキャプテンの子のお父様がその事故で亡くなりました。
デリカシーの無い取材陣と、お葬式で大喧嘩になりました。
大牟田も、次の時代に向けて再発展してくれることを願っています。
投稿情報: ブラック | 2008年4 月 5日 (土) 21:19
ブラックさんてイメージ的に小さい頃からのエリートって感じでしたけど人は見かけによらないですね。夫もクライストチャーチの貧しい地区で育ちました。思いがけず頭がよかったんでクライストチャーチボーイズハイスクールに入れましたが、家庭環境が違いすぎて友達はいなかったといってました。
貧富の差が激しいというのがニュージーランドのまた一つの面ですよね。
投稿情報: satoko | 2008年4 月10日 (木) 12:59
satokoさん、
こめんとありがとうございます。
私は、エリートではありませんよ、全く。
そうですね、貧富の差が日本よりも表面化しているかもしれません。
ただ、裕福で無い方でも、とても人生を楽しんでいる方が多い気もします。
投稿情報: ブラック | 2008年4 月11日 (金) 04:12
はじめまして!
本気の遊び、応援されたい(笑)です。
アウトドア大好きです。
今は 登山に挑戦してみたくって
あれこれ 手探りしているとこです。
この日記は 外部なんですね?あんまり詳しくないので
このコメントが 正しく送られるのかどうかも・・・^^
これからも遊びに来ていいですか??
よろしくお願いします。
投稿情報: KYON! | 2008年4 月15日 (火) 16:40
KYON!さん、
コメントありがとうございます。
是非、ニュージーランド遊びにいらしてください。
ニュージーランドのウォーキングの主流はトランピングというものです。
日本のように、ピークを目指すのではなく、ある程度長い距離を数日かけて踏破することが目的です。
自然に囲まれる一体感を大事にする素晴らしい体験です。
また、コメントしてください。
今後もよろしくお願いします。
投稿情報: ブラック | 2008年4 月15日 (火) 17:52
ブラックさん、はじめてコメントさせて頂きます。先日ニュージーランドでお世話になりましたカメラのルーツです。色々お世話になり本当に有り難うございました。実はワタシもThe MODSの大ファンであり今でもたまに車で大音量にしてシャウトしています。たしかアルバムタイトルはFIGHT OR FLIGHT 28年も前の話しですがカメラマンめざして田舎から出て来たころ毎日自分に問いかけていた言葉『戦うか逃げるか』(FIGHT OR FLIGHT)今でもこのアルバムを聞くたびにあの頃が思い出され熱くなります。同時に今の自分に問いかけますFIGHT OR FLIGHT? そして、決して自分だけの力でここまで来れたわけじゃない、すべての私を知る人々に感謝させてくれる歌です。
こんな事を語れる人に出会えた事に感謝、また遊びに来ます。
投稿情報: ルーツ | 2008年4 月17日 (木) 10:43