夕方、キャンプ地に着くとChrisが何処かへ走り去りました。相当トイレに行きたかったんだろうと、皆で話しながらビーチに座っていると、夏男は何やら箱を抱えて走ってきます、「朝、本部に今日は飲みたいって言っておいたんだよ」と言い、冷えたビールを配りだしました、「今夜はカレーだよ!」と言いながら。
この公園のキャンプ場はしっかりと整備されており、トイレは水洗、台所にもきちんとしたシンクがあります。とは言っても日本の様に夜通し台所やトイレに光があるわけではないので、夜は本当に真っ暗になり、ヘッドランプ無しでトイレに行くのは至難の業でしょう。そしてこの日のキャンプ場から歩くこと30分位の所には、ウォーキングトラックからは見えない小さな滝があるから、そこで水浴びをしようと言う話になり、またもワイワイ行くことに。
トラックから外れ、ゴロゴロとした岩のある道なき道を歩きます、苔の生えた滑りやすい岩を裸足で登ると、可愛らしい小さな滝があり、その滝つぼはちょうど水浴びするには、ぴったりな大きさのプールになっていて、さて誰が行こうかと話してた矢先に「ヒュー!」またもやられました、イギリス人夫婦の奥さんの方ですね。やはり産業革命の国の方です、恐るべし。私もくだらない負けず嫌いで続く二番に入りましたが、これは冷たい、目が一気に覚めました。例のカレーを食べ終わり、ワインを持ってキャンプファイヤーを囲み、世間話に花が咲き、その花が散る頃にはちょうど辺りは真っ暗に。誰一人として南十字星の場所が結局分からぬまま、一人また一人とテントに入って眠りにつく。
鳥の鳴き声で起こされる。外は快晴、昨日よりも暖かい、昼頃にはかなり暑くなりそうな予感。朝食はフレンチトースト、もちろんJanに聞く「フランスではフレンチトーストを食べるの?」「今日が初めて」、語源はやはり北米に違いない。美味しいトーストを沢山頂いた後、すぐに出発の準備に取り掛かる。
出発後、とりあえず近くの島まで行ってみる、なんだか寝ぼけてそうなオットセイ達がだるそうにこっちを見る。そして一行は本島の方へ戻り、また海岸線の岩の多いところを狙って漕ぐ。青い空と水、金色のビーチ、そして森とのコントラスト、やはりここは聞いていたとおりの素晴らしい場所だった。そして2時間程漕いで、Chrisがお気に 入りの場所に連れて行きたいから、ちょっと休憩しようということになる。「食べて、歩いて、泳ぐ?」Chrisが聞く、「歩いて、食べて、泳ぐ」と意見一致、ちょっとした山歩きへ行く。途中、ゴーシュというアイルランド原産の、棘のある草が裸足で歩く邪魔をする。30分位歩くと、素晴らしい眺めの場所に出る、そこからでも透き通った水が海底を映し出す。しばらく無心で眺める、なぜか皆小声で喋る、意味は分からないが自分もそうなる。
腹ペコの六人は一目散に帰って、ランチを頬張ることにした。メニューはサンドウィッチ、マフィン、スコーン、ビスケット、オレンジ、もちろん味は前日とは違う。食後、食べすぎて泳げないと言う旦那を尻目に、例のイギリス人奥様は水着になり海へと消える。私はというと食後で体重いし、ちょっと冷たいから、というのを隠すように偶然見つけた洞窟に入る、しかし狭い通路を抜けると、海へとつながっており残念ながら泳がざるを得ない結末になった。
食後、次の目的地であるFisherman Islandへ漕ぎ始める。なんでもそこは小さな島で、プライベートアイランドのような雰囲気という、行ってみるとそこが素晴らしい、ビーチは一つ、そして小さな山があるだけ、そこにはペンギンが時期によっては多く住むらしいが、今回は残念ながら見ることは出来なかった。
最後の一漕ぎ、そうここからはまっすぐKaiteriteriに帰るだけである。その間にはSpread Appleというその名の通りの大きな岩があり終わりが近いことを教えてくれ、セイリングボートに乗った観光客も多く見るようになる。帰港ならぬ帰ビーチを前に、嬉しいけれど、なんとなく寂しい感じが皆から伝わる、こんな最高の思い出になるとは最初は正直思っていなかった。
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