高校のラグビー部の恩師が、来年勇退されることを母から聞いた。
静かだけど存在感があり、目をじっと見ながら話し、曲がったこと、偉ぶること、飾ることを嫌い、自分や人、そして物事を過小にも過大にも勝手に評価することを嫌った。また、ゴチャゴチャ文句を言うことや言う人を嫌い、やる気の無い態度やそういう態度を見せる人もとにかく嫌う人だった。
毎日いやと言うほど聞いたから、先生の言葉は沢山覚えていてもいいはずなのに、何故だか思い出せない。でも、思い出せるのは、「気持ちが大事、最後は自分だ」といつも言っていたこと。
先生に会っていなかったら、僕は全く違う道を弱々しく歩いていたと思う。そうならなくて良かった、と本当に思う。目指していた全国大会、花園ラグビー場には残念ながら行けなかったけど、僕は先生の下でラグビーが出来たことを誇りに思っている。
今、また一つ先生のよく言っていた言葉を思い出した。
暑い時、寒い時、怪我をした時、体が痛くて動けない時、とにかくきつい時、先生はきまってこう言った。
「大したことねえだろ」
そう言われたら、何でも大したことないんだと思うしかなかった。今思えば、厳しい教え方だけど、そのお陰で僕も少し強くなれた気がする。大したことじゃないのかもしれないけれど。
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