つい何日か前、良いことがあった。
その日、僕はニュージーランドの北島から南島を渡るフェリーに乗っていた。外はびっくりするほどの強風、この女の子達も飛ばされそうなくらい。とは言え、すごい天気だったから写真を撮りにデッキへ。
外へ出たら、風が強くて強くて目も開けられないほど。カメラを構えたらカメラが飛ばされそう、サングラスまでなんだか頼りなく鼻の上でガタガタしている。
「あっ」と思った瞬間、僕のニットキャップが飛んで行った。ニットキャップなんて普通は飛ばない。でも、ピューとすごい勢いで小さくなって飛んで行った。
緑のニットキャップは僕のお気に入りだった。気に入ってたけど仕方が無いから、そのまま写真を撮っていた。
あっち行ってパシャリ、こっち向いてパシャリ。色々と撮りながら、デッキの後ろまで移動。そこでまたパシャパシャしてたら、何かがフレームに入ってきて邪魔くさかった。
何だろう?
よく見ると、さっき飛んでいった緑のあいつだった。「あー」と思って、何故か忍び足で近付いたら、手元にパサッと落ちてきた。すごく嬉しかったけど、まわりに居た誰も見てくれなかった。こんな時、すごく寂しい。そして山根康広の名曲が一瞬頭を過ぎった自分が恥ずかった。
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